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「青の時代」
青の時代は三島由紀夫著による長編小説で昭和25年12月25日刊行
小説のモデルとなったのは昭和23年東京で発生した光クラブ事件
光クラブ事件とは当時東京大学の学生だった山崎晃嗣が起業した
闇金融が法律違反として警察に検挙された事件        
山崎逮捕後業績が急激に悪化し 株の空売りで資金調達を試みるも
うまく行かず約3000万円の債務を履行できなくなった山崎は債務
返済の前日に本社の一室で青酸カリをあおり服毒自殺を図った 


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青の時代 第1章
第1章冒頭の千葉県K市とは千葉県木更津市のことで
木更津の歴史や地理について忠実に表現されており
木更津は由来低能児の多い町として紹介しているが
実際三島氏は小説を草稿するにあたり木更津に訪れ
たのではないかと想像される          

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小説に登場する川崎誠とは光クラブを設立した山崎晃嗣のこと
山崎は医師で木更津市市長だった山崎直の五男として生まれる
小説の中では矢那川鳥居崎海岸など実在する名称が登場する

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「誠はいそぎながら買ひつけの文房具店の前まで来た。
その軒先に大きな鉛筆の模型がかかってゐる。」
  
ここで気になったことが小説の中で登場する文房具店
が実在するのか?ということ           
この文房具店は誠の家から鳥居崎海岸へ向かう途中に
あるというのが分かる この地域には2件の文房具店が
実在し うち1件は大正5年創業で現在も営業している

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青の時代に登場する文房具店と推測される「塩粂商店」 
残念ながら数年前に閉店となり情報収集ができなかった 
 当時この文具店の前に大きな鉛筆の模型があったのだろうか

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大正5年創業の「浜田屋文具店」現在営業中
今回地域の情報について詳しくご教示いただきました
昔大きな鉛筆ではないが大きな万年筆はあったそうだ


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嘗て山崎の生家があった場所は矢那川下流の橋詰にあり
小説の内容と一致している             
現在は木更津市が管理する「山崎公園」になっている 

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山崎公園の隣に建つ洋風の家屋は山崎家が所有していたもの
ガラスのドアやギロチン窓の作りから大正期の建築だろうか
浜田屋のご主人の話では現在は借家となっているそうだ  


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のちに三島由紀夫は「青青の時代」は失敗作だったとしている

三島由紀夫没後50年 発売当時の文庫本は高価ですが新潮文庫から
再販されているので興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか